選択制夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書採択に伴う経過報告 2010.12.20
福生市議会議員 杉山行男


平成22年(2010)12月福生市議会では、「選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書の提出に関する陳情書」を賛成多数で採択しました。
この陳情書は、平成22年5月13日付けで福生市議会に陳情されたものです。
陳情者は、「日本の子供の未来を・守る会 東京」(代表者名はここには記さない)から出されたものです。 
この陳情者が一緒に提出した陳情書は他に、「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書の提出に関する陳情書」 「子ども手当の廃止を求める意見書の提出に関する陳情書」 「人権侵害救済法の成立に反対する意見書の提出に関する陳情書」の合計4件です。
これらの4件の陳情書は、6月の定例会に提出されました。
そのうち「永住外国人地方参政権付与反対」「人権侵害救済法の成立反対」の2件は総務文教委員会へ付託。
「子ども手当の廃止」「選択制夫婦別姓制度法制化反対」の2件は市民厚生委員会へ付託されました。
私は市民厚生委員会の委員ですので、「子ども手当」「夫婦別姓」を審査することになりました。

民主党を中心とする現政権がマニフェスト選挙と称して、多数の議席を占めた選挙の時、民主党の党の政策集には、この4つの法案提出は謳ってありました。
このことを党員でありながら問題視した土屋都議は除名となりました。
ネットで情報を収集している方はおわかりと思いますが、これらの法案の危険性や思想的な根拠が指摘されていました。
政権交代の直後は法案が提出されたら確実に成立する状況でした。
心ある議員、国を思う議員や国民の皆さんの、大変な危機感が行動となって表れたことは、関心をお持ちのネットユーザーならご存じだと思います。

私も地元の都議の署名活動、日本会議の署名活動に賛同し、「外国人地方参政権付与法案に慎重な対応を求める署名」を集めて回りました。
その結果は、民主党政権は法案提出を見合わせたこともご存じの通りです。
この時は、夫婦別姓よりも外国人地方参政権の方が危険だったように思います。
しかし12月には男女共同参画法案改正の閣議決定の中で「夫婦別姓」検討が盛り込まれようとしていました(盛り込まれたしまいましたが)。

私達は、提出された陳情書4件全てすぐにでも採択したい気持ちでありました。
しかし、福生市議会では、採択か不採択か2つの選択しかとらない了解があります。
ちなみに全国の議会では、陳情の取り扱いについては、議長預かりや趣旨採択など、それぞれの議会での特徴があります。 
私たちの議会では何故趣旨採択を取らないかベテラン議員に伺ったこところ、「気持ちはわかるけど意見書は出さない」こういう中途半端なものは議会としては良くないとの歴代の諸先輩議員が申し合わせてきたと教えていただきました。
審査する側にすれば大変便利な方法であるが、陳情者としてはどんなんだろうと、諸先輩議員の判断に納得したことがあります。
また、意見書は全会一致で提出。これも伝統的な申し合わせでした。
しかし、今回の採択は、意見が分かれ全会一致は出来ませんでしたが、その代わり賛成・反対の意見を、市民にわかる議論をお互いにしていきましょうということで取り扱いました。

6月の議会でも、賛成の意見、反対の意見を述べあいました。9月の議会でも述べあいました。
この内容は市議会の議事録に残っています。またそれぞれの議会の最終日の委員長報告でも記録されています。

そして、今回12月議会での陳情書の取り扱いについて、私達の会派では、「永住外国人地方参政権付与の法制化反対」「選択的夫婦別姓制度法案反対」の意見書は採択する方針で臨みました。
私の所属する市民厚生委員会では、陳情書提出には、賛成の私達の正和会会派、賛成の市民派未来クラブ会派、反対の共産党会派、継続を求めるめる公明党会派の意見がそれぞれ出されました。
最後は起立による採決で採択をしたものです。

通常は、終了後意見書の文言を反対の委員も入れて全員で話し合って決めて、委員会提出議案や議会提出議案としていましたが、今回は足して2で割るようなことはとうてい考えられませんので、委員長の私が提出者、賛成した委員会所属議員が賛成者ということで、議員提出議案として最終日の本会議に上程することになりました。

本会議では、委員会の委員長報告を行い、委員長報告は起立採決を行い、意見書を採択しました。
その後、改めて議員提出議案として、提出の趣旨説明を行い、反対討論、賛成討論を行いました。
反対討論は、共産党会派、公明党会派でした。賛成討論は同僚議員が行いました。

以下に 私達がおこなった、 「選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書」と 提案理由の説明、賛成討論を紹介します。
それぞれが原稿ですので、議事録と違っているところがあるかも知れません。 大きくは違わないと思いますのでご承知ください。


福生市議会意見書
「選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書」

 政府は、選択的夫婦別姓制度を導入することを柱とする民法改正案を国会に提出する用意があることを明言している。

 日本の夫婦同姓制度は、夫婦でありながら妻が夫の氏(うじ)を名乗れない中国や韓国の別姓制度よりも、より絆の深い一体感のある夫婦関係、家族関係を築くことの出来る進化した制度である。

また、この制度は、日本人にとって日常的なこととして何の疑問や不都合を感じない家族制度である。
 現在、婚姻に際し氏を変える者で、職業上不都合が生じる人にとっては、通称名で旧姓を使用することが一般化しており、また、婚姻に際し氏を変更することにより自己喪失感を覚えるというような意見もあるが、かえって、婚姻に際し同じ姓となり、これから新たな家庭を築くという喜びを持つ夫婦の方が圧倒的に多数であり、極めて一般的な感覚である。

 このようなことを考えると、選択的夫婦別姓制度とは、家族や親族という共同体を尊重することよりも親の都合を優先するものであり、このことからこの制度は、子どもの都合については何も考慮に入れていない内容であると考える。
子どもの心の健全な成長を考えた時、夫婦・家族が一体感を持つ同一の姓であることが何よりであるが、夫婦別姓は、その家族が一体感を失うものであり、悲しい思いをする子どもが増えることになりかねない。

 よって、福生市議会は、選択的夫婦別姓制度の導入を柱とする民法改正案を国会に提出しないよう強く要望する。

平成22年12月 日
福生市議会議長
大野 聰 
内閣総理大臣
法務大臣     様
衆議院議長
参議院議長


選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書提出書提案理由説明

議員提出議案第8号、選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書につきまして、提案理由の説明をさせていただきます。

 政府は、選択的夫婦別姓制度を導入することを柱とする民法改正案を国会に提出する用意があることを明言しており、私たちはこれに反対するものであります。

 民法第750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」とあります。
夫となる人、又は妻となる人のいずれか一方の氏を夫婦の氏とするということであります。

新しい家族を作るための自由な選択であります。

 この民法では、夫婦とその未婚の子の集団、すなわち核家族を単位とするという性質のものと、それに加えて核家族単位から次世代の核家族単位への継続性、この2つの性質を満たしたものであります。

 この日本の夫婦同姓制度は、夫婦でありながら妻が夫の姓を名乗れない中国や韓国の別姓制度より、より絆の深い、一体感ある夫婦関係・家族関係を築くことの出来る進化した制度であり、日本人にとって日常的なこととして何の疑問や不都合も感じない家族制度であります。

 社会制度はお互いに制度的補完性を持っており、ぞの内の家族制度に大きな変更をもたらす可能性がある選択的夫婦別姓制度の導入に、私たちは断固反対するものでありまして、
本案は国に対してこの選択的夫婦別姓制度を法制化しないよう意見書を提出していただきたく、本案を提出したものでございます。

 本意見書の内容につきましては、お手元にご配布いたしました通りでございます。
 何とぞ、本趣旨にご賛同いただき、原案通りご決定くださいますようお願い申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。


選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書に対する 賛成討論

議員提出議案第8号 選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書について賛成の立場から討論させていただきます。

 我が国の戸籍制度は、家族を単位とする氏(うじ)の存在と一家一氏、すなわち結果として夫婦同姓ですが、その家族単位と関係性のある制度です。

 法制度は全世界で普遍的なものではありません。もしも普遍的なものであったなら、国ごとに民族ごとにいちいち憲法や法律を作り必要はありません。
それぞれの国や民族、文化によって、歴史背景や人生観、世界観、哲学、宗教、生活習慣、環境などが、それぞれ異なり、多種多様ではないかと思います。

 法律の基になったのは、そうした環境への適応から生まれた社会規範であり、道徳であり、生きる知恵であり、それらが近代法治国家となっていく過程で法律制度の中に取り込まれて来たのではないでしょうか。
氏(うじ)、性や苗字ですが、この問題についても同様で、例えば原則夫婦別姓である中国や韓国は、男系による系図を重視する文化です。
日本と違い、同じ共通の男系祖先を持つ人たちが、共同生活したり共同体を形成したりしていて、5〜6世代前の祖先の兄弟同士の人たちが「従兄弟」として扱われ、親族と認識していると聞いております。

子孫は枝葉にいたるまで事細かに系図に記され、長氏系の子孫がこれを保管しています。

 孔子の子孫の一族など、まだ生まれていない世代の名前まですでに系図上で決定していると紹介されるのを読んだことがあります。
それほど「縦」の系統を重視する文化があるからこそ、その系統名を表す名前、つまり氏や姓がつくられたわけでして、だからこそ夫婦では異なっていると思います。

 しかしながら、日本人の苗字はこれと全く異なる背景と目的から生まれたものであり、現在の法律上の「氏」は、中国の祖系名である「氏」と、親族共同体名である「苗字」の両方を統合したもので、現在のようになっていると思います。

 欧米の場合も日本とはいろいろ違いがあります。

 歴史的に、欧米は日本の「苗字」に近い家族名を持つ文化が多かったようです。
しかし、「氏」にあたるような祖系名の概念は薄く、そのため結合性、夫と妻の姓、例えばBush-Blairというような形が古くから存在していたり、ミドルネームに母方の姓を残す習慣があったりという、背景がありました。
また、日常生活で呼称として姓を用いることが少なく、名、すなわち個人名の方を頻繁に用いる傾向もあります。

そのような背景があり、あまり厳密に家族名の同一性や継承性を問われることがなく、別姓制度が受け入れられたと言えるのではないか思います。

 こうした、それぞれの文化的、歴史的背景を考慮すると、単純に「夫婦別姓が認められるか否か」ではないと思います。
現在の制度は、婚姻についても、家庭内においても、憲法の男女平等が取り入れられ、夫婦が対等・平等に取り扱われています。

 民法750条「夫婦が、婚姻に際し定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」とあります。
つまり、夫となる人、又は妻となる人のいずれか一方の氏を夫婦の氏とするということです。

新しく家族をつくるための選択であります。

民法は、基本的には氏が示す家庭の単位は、夫婦とその未婚の子の集団、すなわち核家族を単位とする性質のもの、それに加えて核家族単位から次世代の核家族単位への継続性の2つの性質を満たした制度です。

この制度を変えるなら、変えなければならない、正当な理由が無ければなりません。
同一性ではどのような不利益があるのか、法律に不備があるのか、全くの説明もされていません。
このような段階で、法律を改正して夫婦別姓制度にする理由がわかりません。

先ほどの陳情書は一般の方が思いのたけを、ぶつけてきたものと理解をしています。
そのため理論的というよりかは、感情が高ぶっているのは、無理からぬことと解釈します。

いずれにしましても、政府が今、準備をしている、選択的夫婦別姓については反対であり、今回の、選択的夫婦別姓制度の法制化に反対する意見書について、賛成する意志を表明いたしまして、賛成討論とさせていただきます。



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